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犯罪捜査における公認心理師の役割

現在、私は科学捜査研究所(略して、科捜研)にて、ポリグラフ検査を担当している公認心理師です。以前は、犯罪者プロファイリングを担当し、つい最近までは、警察官に対する適正な取調べや司法面接の技法についてのトレーニングも担当していました。

科捜研は、適正な犯罪捜査を支える鑑定・検査を行う部署で、様々な科学領域の職員で構成されています。当然ながら、鑑定・検査にはエビデンスのある方法が用いられます。心理領域の鑑定対象はヒトですが、他の科学領域は、ヒト以外のモノを鑑定対象にしています。科捜研の職員は研究活動も行い、科学的な捜査技術の向上と普及に努めています。つまり、科捜研自体が、多職種集団と表現できます。

犯罪捜査の目的は、真実を明らかにして、事件を解決することです。つまり、犯罪捜査は、われわれの安全・安心の実現を目指した集団による社会的行動といえます。長年、科捜研の仕事に携わって思うのは、犯罪捜査で用いられる鑑定や捜査手法は、適切な時期、場所、方法で用いられなければ、問題解決に貢献できないということです。問題解決に貢献するためには、自分たちの鑑定や捜査手法の適用度と限界を踏まえながら、犯罪捜査の関係職員にとどまらず、被害関係者を含む参考人、被疑者との「協働」に配慮した振る舞いが重要になります。また、自分たちの仕事の後を引き継いで犯罪捜査に関わる職員、参考人、被疑者に応じて、分析や鑑定の結果についての説明を工夫し、問題解決につなげてもらう振る舞いが求められます。

このように、犯罪捜査と密接な関係を持つ科捜研の心理職員の職責は、公認心理師の職責にもマッチしていることが理解できます。(岩見広一)

参考文献
岩見広一(2017) 現場の声4 科学捜査研究所での仕事 太田信夫(監修)大坊郁夫(編集)シリーズ心理学と仕事10 社会心理学 (pp.58-59) 北大路書房

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