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身体から心の癒しをもたらす技法の分かりやすい“専門書”

鈴木孝信氏(以下、「鈴木氏」という。)の「一点をボーっと見るだけ!脳からトラウマを消す技術」(2022、講談社)を紹介します。本書には、主として、“見る位置”をトラウマのケアに活用する心理技法(ブレインスポッティング(BSP)、以下「本心理技法」という。)及びセルフ・ケアとしての応用技法(セルフ・スポッティング)の実践的解説、心的外傷(トラウマ)の機序の説明等がまとめられています。

鈴木氏は公認心理師であり、BTI-J(ブレインスポッティング・トレーニング・インスティテュート日本)代表です。その鈴木氏が、本心理技法の理論的な説明や実践上の留意事項等を平易かつ丁寧に整理し、本心理技法の実践の過程について、具体例を盛り込み、漫画やイラストを豊富に用い、時に実践家、当事者双方の内面の動きを描きながら、臨床家の方以外の方が読まれることにも配慮して、分かりやすくまとめられています。

本書は、本心理技法の理解のみならず、身体から心の癒しをもたらすソマティック(身体的)な心理技法を広く知る上でもとても参考になり、身体的な営みを活用する心理技法に関する専門書でありつつ、なじみのない方でも読み進めやすい平易なものであります。

本書を通して、筆者(中島)が長くかかわる少年鑑別所等の実務においても、とても大切だと思うことが3つあります。一つ目は、何気ない普段の身体的な営みに、心のケアやエンパワーのヒントが内包されているということで、言語的な要素のみならず、非言語的な要素も大切にして、対象者の行動を観察していくことが、その対象者の健全育成につながると考えさせられます。二つ目は、リソース(資源、強み)を大切にするということで、対象者の問題性だけではなく、健康的な部分も含めて、広い視野から対象者への働き掛けを考えていくことが大切であると改めて考えさせられます。三つ目は、セルフ・ケアの重要性です。対象者自身がセルフ・ケアの方法を身に付け、自助できるようになることや、実践家自身もすり減り過ぎないよう自分で自分をケアすることはとても大切であると思います。

本書からは、本心理技法に関する内容だけではなく、少年鑑別所等における実務上有益な多くの気付きやヒントを得ることができます。本書は、身体的な営みを心のケアやエンパワーにつなげたり、心身の統合に生かしたりすることになじみがない方にも、とっつきやすく、読みやすいものであり、ソマティック(身体的)な心理技法を知る入り口になるものであると思います。(中島賢)

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